カテゴリ:諸国巡り( 20 )

 

広島その4

雨の日に行くところはそうそうないので、ひろしま美術館と広島城へ行く。

美術館では、フランスのノルマンディー近郊を描いた絵を中心した展覧会が開催中で、「印象派の故郷」の文字に、なかば退屈を覚悟して回ったのだが、光の降り注ぐ廃墟の風景や農場に草を食む牛の絵に足を止め、目を近づけて筆の一刷毛で描かれた牛の顔に見入ったり、予想に反して楽しめた。どこか緊張して訪れた広島は、印象派の思いもかけない清涼感でスッと力の抜けた旅になった。

広島城の帰りに乗ったタクシーの運転手さんが、「全滅したお堀の鯉が、ようやく育ってきました」という。「広島は鯉ですものね」と相槌を打ちながら、「そうか、広島はカープだった」と遅まきながら気がついた。広島城の別称も「鯉城(りじょう)」だし「鯉城通り」もある。帰ってから「今年のカープは強い」と知り、行く前に調べておけばよかったと思った。知っていれば、道すがら観光案内をしてくれた運転手さんに心ばかりのお礼の気持ちを伝えられたのに。


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鯉城の天守閣(背面)

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二の丸郭内

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雨に鮮やかだった落花の紅




by m-teshigoto | 2015-03-24 16:44 | 諸国巡り | Comments(0)  

広島その3

宮島は雨だった。

海の上に浮かぶ厳島神社。雨に朱塗りの建物が沈んで見える。かつて、揺らめく夜の灯明に照らされたその様は、見る人に西方浄土もかくやと思わせたにちがいない。平清盛の栄耀栄華も水面を揺らしたことだろう。

秀吉もこの地を好み、厳島神社の手前には、秀吉の死によって建設が中断された「千畳閣」がある。太い梁と柱に支えられた講堂はその広さばかりでなく木質感が圧巻で、床の感触を楽しみながら内外を歩いた。

千畳閣に寄ったのは偶然のたまもの、たまたま船着き場で切符を売っていた人が「できたら寄ってみてください」と教えてくれた。もしその一言がなかったら、雨と石段に負けていたかもしれない。
帰りに入った茶店の人が、「雨の厳島神社がいいと仰る人も多い」と言っていたけれど、歩くには雨は厄介だ。そういえば厳島神社では、ちょうど結婚式を終えたばかりの新郎新婦が記念写真を撮ろうとしていて、花嫁さんが打ち掛けの裾を気にしながら雨宿りをしていたっけ。

雨で難儀した宮島だったが、厳島神社で引いたおみくじは吉。
待ち人来る、失せ物出る、家移り良し、旅行よろし…

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太い柱と梁、幅広の床板は贅の極みだ。

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雨風に晒されて美しく風化した回廊の床。








by m-teshigoto | 2015-03-22 22:01 | 諸国巡り | Comments(0)  

広島その2

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ドームから少し下った窪地に動員学徒慰霊塔があった。

当時、全国で300万人余りの学生たちが動員され、軍事工場等で勤労奉仕に携わっていた。約1万人が戦禍で命を落とし、そのうち7000人が広島でだったという。碑文に記されている出身校は全国に及び、300万人という数字が納得できた。レリーフにはミシン掛けをする女子学生、土を掘り返す男子学生が刻まれ、成人男子がほとんどいなくなった終戦間近の日本を支えるために学生達が汗を流した姿を知る。

向田邦子がその作品の中で、自分もいっぱしの軍国少女だったこと、友達の中には旋盤で指を落とした子もいたと書いていたのを思い出した。

きっと自分もその時代に生きていたら、やはりまなじりを決して唇を曳き結びミシンに向かっただろう。

一途という言葉が似合う時代があったのだ。

by m-teshigoto | 2015-03-21 11:41 | 諸国巡り | Comments(0)  

広島

広島へ行った。

一度は行きたいと思いながらなかなか機会を得られず、また、気持ちも整わなかった。
たまたま『苦界浄土』(石牟礼道子著)を休み休み読み進むうちに気が満ちてきて行くことにした。

市電に乗って「原爆ドーム前」で下車。
横断歩道を渡ってふと見上げると、それはそこにあった。

崩れた煉瓦やねじ曲がった鉄骨が、風化しながらも8月6日の凄惨を留めている建物は、想像よりもいくぶん小さく感じられ、あまりに目の前なので、広島への気持ちの壁などどこかへ吹き飛んで、ただただ向き合うしかなかった。

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by m-teshigoto | 2015-03-20 13:04 | 諸国巡り | Comments(0)  

SAにて

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珍しく海老名SAに寄る。
小腹が空いたというヤツである。

リニューアルしたとは聞いていたが、
名店街のように、そこそこ名のある店が並んでいる。
蒲鉾やわさび漬けなどのご当地土産より幅をきかせているみたい。

横浜の肉まんでもないなぁ、と思いあぐねていたら「はらドーナツ」を発見。
名前は知っていて、興味はあったがわざわざ行って買うほど熱心ではなかったお店。
小腹にちょうど良さそうだったのでプレーンとシナモンを買う。

さて出口へと振り返ると、鯵の押し寿司が名物の「大船軒」。
売り子さんの「シーズンですよ〜」の一声に、一つだけ残った「しらす弁当」にする。

移動の夜の晩ごはんは駅弁。
これが素朴なしみじみした味わいで、思いの外美味しかった。

by m-teshigoto | 2013-09-14 10:58 | 諸国巡り | Comments(2)  

江戸みやげ

新しもの好きとしては見逃せない歌舞伎座のこけら落とし。
歌舞伎好きの友人のおかげで、初日から4日目に足を運ぶことができた。

外観・内装とも旧歌舞伎座を踏襲しているので、
新しくなった気持ち良さと落ち着きが程よくマッチしている。

座席の間隔が広くなったのは嬉しい。座っている人の前を楽に通り抜けられる。
ただ、傾斜があって見通しが良いという前評判とは裏腹に、
上手寄り十数列目に居ながら、前の人の頭が邪魔して舞台の中央が見えない。
格段に座高の高い人が並んでいた訳でもなかったので、これにはびっくり。
下手の席ではどうなのか、これはぜひ確認してみなければ。

物見遊山もあって、珍しく幕間に館内を歩き回る。
プログラム売場には長蛇の列、お弁当は早々に売り切れ、
迷路のような地下トイレと、目につくことも多かったけれど、それはそれ。

舞台を務める当代きっての役者たちとそれを言祝ぐ観客たち、
いずれも新しい劇場のスタートにふさわしい華やぎに満ちていて、
楽しい時間を過ごせた。

せっかくだからと、職場にほんの気持ちの観劇みやげ。
テレビで報道されているからか、注目度高し。
切符のプラチナぶりにも話題が集中して質問攻め。
大枚はたいて歌舞伎道楽と思わば思えと、ニコニコ笑ってやりすごす。
とてもじゃないけれど、勧進帳も見たい、道成寺も見たい思っているとは言えません。

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by m-teshigoto | 2013-04-08 18:02 | 諸国巡り | Comments(0)  

記念弁当

東急東横線の渋谷駅が、明日から地下3階に潜る。

これまでは地上2階にあって、改札を出て階段を上れば銀座線にもJRにもすぐ、
さらに階段を下りてちょっと行けば井の頭線の改札。
乗り換えはじつにスムーズだった。

地上2階から地下3階へ、5階分の時間はどれくらいだろう。

大人が10円、子供が5円の頃から東横線に乗っている。
踏切から高架へ、日比谷線への乗り入れ、特急電車の運行…
これまでさまざまな変化があった。

そんなことを考えながら駅に近いスーパーへ寄ったら、まあ、びっくり。
「記念弁当」を売っているじゃありませんか。
いかにも駅弁風のつくり。でも、製造元はスーパー。
「便乗商法」は言い過ぎかもしれないけれど、商魂たくましいことおびただしい。

ご祝儀気分の記念弁当は850円也。

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by m-teshigoto | 2013-03-15 21:39 | 諸国巡り | Comments(0)  

高田せんべい

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初ナビ体験の今回。
取説に電話番号で探せるとあったので、ひとまず行たい場所の分をメモする。
会津若松駅前のホテル、会津美里町のお寺、それとお煎餅屋さん。

東京の自宅付近を「現在地」としホテルの電話番号を打ち込むと、
延々400キロを案内してくれる。

まず「この先を右です」と言い、角まで来るとやや命令口調で「ここです」。
うっかり曲がり損なうと、しばらく考えてからナビを再開。

機械だから怒らないのは有り難いけれど、かなり遠回りしているような気もする。

さんざん遠回りして着いた川島煎餅店。
伊佐須美神社の名物・高田せんべいはここのが一番。

70歳を過ぎた老夫婦が七輪を真ん中に向かい合って座り、一枚一枚焼いている。

まだ10時前で七輪に火が起きたばかり。
丸い物干しに一つだけぶら下がっていたのをもらって帰る。
昨日のだけれど、ないよりはいい。

何年かに一度味わう楽しみ。
ざっくりした舌ざわりに焦げた醤油の香ばしさ。

「あの二人は大丈夫か」と、老夫婦を案じていた父の方が先に逝ってしまった。

by m-teshigoto | 2011-10-22 22:38 | 諸国巡り | Comments(0)  

福島のリンゴ

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宿は駅前のビジネスホテル。
朝食バイキング付きで一泊5000円。

近隣に住む従姉妹は、呑んだ夜に泊まるという。
代行を頼むより安上がりとのこと。

無味乾燥なホテルだけれど、各室インターネット完備。
それと、朝食に会津の郷土料理の「こづゆ」が出るのが嬉しい。

退屈しのぎには近くのスーパーへ。

店頭に秋色の果物が並び、目に楽しい。
「福島産」の文字に気持ちが揺らぐ。

赤に惹かれて紅玉を買う。
1個100円は高いような気もするが、どこかで支援につながるかもしれない。


福島に住む知人の活動。
http://blog.canpan.info/koho/archive/1553

by m-teshigoto | 2011-10-21 10:05 | 諸国巡り | Comments(0)  

会津のお菓子

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最後の会津藩主は松平容保候だったので、お菓子にも葵のご紋。
名付けて「会津葵」。
カステラと黒あんという、和洋の出逢った明治維新を思わせる取り合わせ。
箱入りの高級菓子で、お土産にはちと高めだったのが、
2個入り400円というお手軽なパッケージも並ぶようになった。

おかげで、十数年ぶりにわが口に入った。

by m-teshigoto | 2011-10-18 20:19 | 諸国巡り | Comments(2)